Dr. TAIRA のブログII

環境と生物、微生物、感染症、科学技術、生活科学、社会・時事問題などに関する記事紹介

#パンデミック

日本人のマスク着用は社会的規範に影響されない

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2024年) はじめに COVID-19 パンデミックが始まってからの、日本人のマスク着用率が高いことはよく知られています。政府のマスク着用に関する「個人の判断になりました」という通達があり、COVID-19 の感染症法上の分類が 5 …

永遠のCOVID

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2024年) はじめに 2024年を迎え、世界保健機構(WHO)は、COVID-19 などに関わる世界的な公衆衛生問題についての現状と見解を発信しました [1]。一言で表せば、COVID-19 パンデミックは継続中であり、この危機的状況に警鐘を…

感染症とCOVID-19 (2024年)

5月↓ 日本人のマスク着用は社会的規範に影響されない 4月↓ 長期コロナ症についてわかったこと、わからないこと 軽症COVID-19から回復した人のウイルス持続性 COVIDウイルスの体内持続性は何を意味するのか? 3月↓ 酒に弱い人はコロナに防御的? A群溶血レン…

エリスとよばれるCOVID-19ウイルスEG.5.1がまん延

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) いま日本ではCOVID-19の第9波流行が拡大しています。その拡大の原因となっているのがEG.5.1変異体(通称エリス)です。このウイルスはいま、東アジア、ヨーロッパ、米国でも流行り始めていて、新しい流行の波として捉…

歴史に学ぶ、コロナ後で起こること

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに COVID-19の世界的な流行は4年目に入り、急性パンデミックへの対応から長期的集団障害の問題への取り組みに焦点が移りつつあります [1] 。COVID-19では、急性期の症状に続く長期の症状が一定の割合で発生する…

長期コロナ症が子どもに及ぼす精神的・心理的影響

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに COVID-19パンデミックは4年目に突入し、5月に世界保健機構(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を終了した一方で、SARS-CoV-2はオミクロン変異体からさらに感染力と免疫逃避力を増し…

COVID-19の年代別死者数の推移

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに COVID-19パンデミックでは、日本は流行波が襲来する度に健康被害と犠牲を大きくしてきたのは周知の事実です(図1)。特にオミクロン波が訪れて以降、感染者数が爆増し、第8波で死者数は最多となりました。こ…

日本での第9波のなか、下水データは米国での新たな流行の始まりを示す

カテゴリー:感染症とCOVID-19(2023年) はじめに 今日、COVID-19に関する興味深いウェブ記事 [1] に目が留りました。「日本では第9波流行が席巻する中、下水データは米国での新たな流行の始まりを示す」(As ninth COVID wave sweeps Japan, wastewater da…

コロナ流行が及ぼした子どもの心への影響ーマスクの影響は?

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに COVIDパンデミックは、感染による身体への直接的な健康被害のみならず、人々に大きな精神的な悪影響をもたらしています。特に子どものメンタルヘルスへ及ぼす影響が大きいことは、パンデミックが始まった直…

SARS-CoV-2の進化と将来のシナリオ

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) 世界保健機構(WHO)は、5月5日、COVID-19に関する「世界の公衆衛生上の緊急事態」(the public health emergency of international concer, PHEIC) の宣言の終了を表明しました。国内では、5月8日、政府がこの感染症…

ウィズコロナでは終息しないパンデミック

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) 2023年新年度が始まりました。テレビからは「コロナ前の日常に戻りつつあります」というメッセージがよく聞こえてきますが、勝手に人間がそう思っているだけで、COVID-19 パンデミックは続いています。そして、ウィズ…

遮断されるパンデミック情報

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) 米ジョンズ・ホプキンス大学(The Johns Hopkins University)は、COVID-19パンデミックが始まって以来、公に貴重な流行情報を提供してきました。しかし、今年3月10日でこの情報提供を終了したようです。NHKもニュー…

2023年を迎えてーパンデミック再考

カテゴリー:感染症とCOVID-19(2023年) 2023年を迎えました。新春早々には明るい未来について語りたいものですが、やはり気になるのはパンデミックです。1年前には「2022年を迎えてーパンデミック考」を記しましたが、ここでまたパンデミックについて簡単…

感染症とCOVID-19 (2023年)

2023年11月↓ 地球環境変動とスピルオーバー感染症の脅威 認知の霧の中にいるという米国人が増えている 感染対策としての手洗いの効果 2023年10月↓ 戦略的マスクキングと世界標準から外れた日本のマスク事情 感染症流行に際して免疫負債論を考える 「給食時の…

パンデミックの行方

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめにーコロナ収束の風潮 世界保健機構WHOの事務局長テドロス氏は、今年9月14日の記者会見で「パンデミックの終わりは見えている(The end is in sight)」と発言しました。同時に、パンデミックを終わらせること…

パンデミックは終わっていないー米国メディアの論調

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) 今日(9月21日)午前の記者会見において、松野博一官房長官は、日本で新型コロナウイルスのパンデミック終了宣言をすることは「現時点で考えていない」と述べました [1](以下の動画参照)。 これは、ニコニコの記者…

米CDCガイドラインとwithコロナ

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 昨日(8月12日)、このブログで、米国CDCのCOVID-19対策に関する改訂ガイドラインを紹介しました(→COVID-19インパクトの最小化ー米CDCガイドライン)。このガイドラインはパンデミック対策の主旨がきわめ…

起こるべくして起こった医療崩壊、そして専門家有志提言の無味乾燥感

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 全国で感染拡大が止まらない新型コロナウイルス(オミクロン変異体亜系統BA.5)の第7波ですが、もはや検査による患者確定が追いつかず、頭打ちの様相を呈してきました。欧米先進諸国は全数把握をやめていま…

ゾンビのように復活した「37℃, 4日以上」のなぜ?

はじめに パンデミックが始まった当初に政府や専門家から出された悪名高い、いわゆる「37℃, 4日間」の受診の目安は、まだ記憶に新しいところです(→新型コロナ受診の見直しについて思うこと)。私は、コロナパンデミックの間、このフレーズを聞くことは二度…

感染症とCOVID-19 (2022年)

2022年12月↓ 第8波流行でまた最悪被害を更新か SARS-CoV-2:史上最大の隠蔽工作 2022年11月↓ コロナ感染男性は精子濃度が低下する 「屋外でマスクは不要」キャンペーンの危険性 パンデミックの行方 免疫負債? スパイクタンパク質とスパイクmRNAの核内移行 …

2022年を迎えて−パンデミック考

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) 2022年を迎えました。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染症について、最初のブログ記事を書いたのが、2年近く前の2020年2月19日です(→新型コロナウイルス感染症流行に備えるべき方策 )。その当時は、パンデミッ…

ワクチン未接種者に対して汚名を着せることは不当

どうも、COVID-19パンデミックやCOVID-19ワクチンは、為政者や科学者の頭の中までおかしくしてしまうようです。 米国疾病対策センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー所長は、7月16日の記者会見で「ワクチン未接種者のパンデミックが起きつつある」と警告し…

東京五輪で露呈したホロコーストジョークの炎上

2021.07.23: 13:14 更新 今回の東京オリパラ大会は、パンデミックという危難に直面し、1年延期したにもかかわらず第5波流行の中での開催という難しい状況になり、さらに開会直前になって、立て続けのスキャンダルに見舞われています。 東京大会に関わるこれ…

東京五輪を支える見えざる手

米国のニューヨーク・タイムズ紙は、7月20日、「東京五輪を支える見えざる手」"The invisible hand behind the Tokyo Olympic"と題した記事を掲載しました [1]。見えざる手とは日本の広告会社電通のことです。 記事の冒頭に「電通は、日本の主要な機関に深く…

感染五輪の様相を呈してきた

2021.06.15更新 はじめに この2、3日、SARS-CoV-2の新規陽性者数は千人台になってきましたが、全国への面的広がりは相変わらずであり、感染再拡大の不安材料になっています。私は昨日以下のようにツイートして、感染再拡大を懸念しました。 新規陽性者は2千…

COVID-19パンデミックの科学的コンセンサスー私たちは今行動すべき

2020.10.18: 23.49更新 10月15日、医学雑誌ランセット(The Lancet)に、"Scientific consensus on the COVID-19 pandemic: we need to act now"というタイトルの書簡記事が掲載されました [1](図1)。このブログのタイトルはそれを邦訳したものです。この…

世界と比べた日本の今の流行ー第1波から何を学んだのか?

2020.10.10: 08:15 a.m. 更新 10月に入り、日本はついに、新型コロナウイルス感染症COVID-19の累計陽性者数で中国を抜いてしまいました。10月6日、この件についてツイートしましたが↓、10月8日0:00現在(厚生労働省)の累計陽性者数は 86,571人、累計死者数…

世界が評価する?日本モデルの力?

はじめに 安倍総理大臣は、昨日(5月25日)、緊急事態宣言解除に際しての記者会見で「日本ならではのやり方で、わずか1ヶ月半で今回の流行をほぼ収束させることができた。まさに日本モデルの力を示したと思う」と述べました。そして同日、国連保健機構WHO事…

COVID-19に関する死者数と検査数との関係ー補足

前のブログ記事「やはり検査と隔離が明暗を分けた」で、COVID-19の流行においては、PCR検査数が人的被害を低減する上で重要であることを述べました。そうしたら、このブログを見た知人から、「もっと一目でわかる図はないか」と要求がきました。そこで彼に、…

COVID-19を巡るアジアと欧米を分ける謎の要因と日本の対策の評価

カテゴリー:感染症とCOVID-19 はじめに 前回のブログ記事「日本の新型コロナの死亡率は低い?」で、COVID-19 患者の死者数について、欧米諸国と東アジア・西太平洋諸国との間で大きな開きがあることを述べました。なぜこのような差があるのかまだよくわかっ…