Dr. TAIRA のブログII

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長期コロナ症が子どもに及ぼす精神的・心理的影響

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年)

はじめに

COVID-19パンデミックは4年目に突入し、5月に世界保健機構(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を終了した一方で、SARS-CoV-2はオミクロン変異体からさらに感染力と免疫逃避力を増したXBB亜系統に進化し続けています(現在EG.5.1が拡大中)。このようななかで、COVID-19研究の焦点も移り変わりつつあるような気がします。その一つが、long COVID(post-COVID condiitons)であり、とくに子どもの健康や精神に及ぼす長期コロナ症の影響が懸念されています(ここでは long COVID を「長期コロナ症」と呼称)。

今年の3月には、長期コロナ症に関するまとまった総説論文がネイチャー系総説誌に掲載され、子どもの長期コロナ症についても言及されました [1]。それまでも子どもの長期コロナ症に関する論文はいくつかありましたが、最近とくに注目され始めており、小児多系統炎症性症候群(MIS-C)や川崎病 [2] 関連も含めて今年だけでも多くの総説論文があります [3, 4, 5, 6, 7]

SARS-CoV-2に感染する、しないに関わらず、パンデミックが子どもに及ぼした精神的、心理的影響は大きく、学習や生活の質(QOL)の低下も懸念されています。長期コロナ症候群(Long COVID syndrome)という言葉とともに、パンデミックストレス障害(Post-pandemic stress disorder, PPSD)パンデミック後症候群(Post-pandemic syndrome)という言葉も生まれています。

一方、日本では第9波流行が襲来し、地域によっては感染増大で医療崩壊も心配される状況になっていますが(沖縄ではすでに医療崩壊)、政府による5類移行後の流行情報の不可視化とメディア報道の激減によって、COVID-19への関心は極端に低下していると思われます。ましてや子どもの長期コロナ症について取り上げた国内の記事やメディア報道は数えるほどしかありません。

厚生労働省は、COVID-19が及ぼすの小児への影響に関する研究事業を主導してきましたが、残念ながら、長期コロナ症による子どもの精神障害心理的問題の視点がすっぽり抜け落ちているように思われ、世界と日本とのギャップを感じざるを得ません。このブログで考えてみたいと思います。

1. 子どもの長期コロナ症の概要

SARS-CoV-2に感染した場合、急性期の症状の程度にかかわらず、ある程度の割合で長期コロナ症に移行することが知られています。小児における長期コロナ症の有病率と危険因子に関する明確なデータはまだ不足しており、研究によって有病率は大きく異なります [8]。大人と比べて、子どもにおける長期コロナ症の発症の割合は若干低下するようですが、急性期の症状にかかわらず、あらゆる年齢の子供たちに影響を及ぼすとされています。

オミクロン感染による長期コロナ症を6ヶ月間追跡した最新の研究では、少なくとも子どもの感染者の10%以上が長期コロナ症になるようです [9]。すなわち、3ヶ月と6ヶ月後の長期コロナ症の定義を満たした割合は、初感染した小児・若年者の12.1%、再感染者の16.1%、常に陰性(PCR検査または自己申告)であった小児・若年者の4.8%でした。

以下、子どもの長期コロナ症の概要について、Davisら [1] (下図)の報告に基づいて記載します。

15〜19歳の長期コロナ症患者では、同年齢の対照群と比較して、疲労、頭痛、めまい、呼吸困難、胸痛、味覚異常、食欲減退、集中力低下、記憶障害、精神的疲労、身体的疲労睡眠障害がより一般的でした。小児でも疲労、労働後倦怠感、認知機能障害、記憶障害、頭痛、起立 不耐性、睡眠障害、息切れがみられ、また肝障害が、感染時に入院しなかった小児で記録されています。そして、まれではありますが、COVID-19罹患の小児では、急性肺塞栓症、心筋炎および心筋症、静脈血栓塞栓、急性および特定不能の腎不全、1型糖尿病のリスクが増加するとされています。

女性が妊娠中にCOVID-19に罹患した場合、生まれた乳児は、出産後1年間に神経発達症の診断を受ける可能性が高かったとされています。

中等度から重度の長期コロナ症を持つ青少年は、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群と一致した特徴を持つことが示唆されています。また、長期コロナ症を経験した子どもは、長期コロナ症の成人にみられるパターンに似た脳の代謝低下を起こしており、長期の肺機能障害も見られます。さらに、長期コロナ症の小児は、感染前に、注意欠陥多動性障害、慢性蕁麻疹、アレルギー性鼻炎を患っている可能性が高かったとされています。

これまでの先行研究もそうですが、年長の子どもは、年少の小児よりも長期コロナ症を経験する可能性が高くなっています。注目すべき点としては、疲労感、睡眠不足、息切れなどの症状については、個人差はあるものの、時間の経過とともに症状が軽減して行く一方、3ヵ月後と6ヵ月後にこれらの症状が出現する場合もあるということです。なぜ初感染から数ヵ月後に新たな症状が出現するのか、その理由を理解することは長期コロナ症の理解と治療にとって不可欠でしょう。

いくつかの研究によれば、SARS-CoV-2に感染した小児は、数週間後に血清転換するにもかかわらず、初期のPCR検査で陽性となる可能性が成人よりかなり低く、最大90%の症例が見逃されているとされています。さらに、小児は成人と比較して、感染しても軽症か無症状の場合が多く [8]、血清転換する可能性が低く、抗体ができたとしても、感染から数ヵ月後に反応が減弱する可能性が高いとされています。

2. 精神的、心理的問題

COVID-19パンデミックは、感染の有無にかかわらず、社会のあらゆる階層に対して、心理的健康だけでなく、人間関係や社会的な幸福をも著しく脅かしています。子どもの感染率と死亡率は成人よりも低いですが、パンデミック心理的幸福に及ぼす悪影響は、他の階層よりもはるかに顕著です。子どもたちは長期間にわたって不安な状態を経験し、学校や社交の場が閉鎖されたために孤立感に苦しんできました。多くの研究によって、社会的孤立や日常生活の乱れによって生じる心理的プレッシャーが、不安や抑うつ症状、過敏性、気分の不安定、行動や感情の変化、睡眠障害を増加させることが示されています。

さらに、パンデミックは、子どもの様々な合併症を引き起こしており、その長期的な後遺症を理解することが最も重要です。パンデミックの間、社会的孤立、自宅での引きこもり、オンライン授業によるスクリーン使用時間の増加、屋外活動の減少、間食の増加などが、肥満の有病率を高め、それに関連した病的状態をさらに増加させている一因となっています [10]

COVID-19パンデミックの出現により、私たちの生活のあらゆる側面がよりバーチャルな領域に入り、その影響はもはや単なる物理的な領域にとどまらなくなっています。その一つが、子どもや青少年によるソーシャルメディア利用の増加であり、スマホタブレットを使ったゲームの時間の増加です。このような端末操作が子どもの注意力低下を促すとされています(→コロナ流行が及ぼした子どもの心への影響ーマスクの影響は?)。この新たな問題に対処するためには、より詳細な評価と学際的アプローチが必要であり、より多くのガイドラインの確立が求められるでしょう [10]

COVID-19に感染した小児にはとくに注意が必要です。これらの小児は、感染、隔離、入院経験に伴うリスクにより、心理的困難に陥りやすいとされています 。さらに、一定の割合で長期コロナ症を発症し、その影響が長引く可能性があります。

Guidoら [11] は長期コロナ症による子どもの神経症状と心理的問題を報告しました。子どもにみられた最も頻度の高い神経症状は、先行研究で記載されているものと類似しており、頭痛、疲労、無嗅覚が主でした。これらは年長の患者コンホート(6~17歳)に多くみられましたが、時間の経過とともに減少する傾向にありました。年少児(1.5〜5歳)の群では神経症状の発現が低く、経時的により顕著に軽減しました。

心理学的な症状は年長の子どもに多くみられました。8-16歳の子どもの多くが、神経症状の発現に伴って、社会不安や分離不安(37%)、パニック(32%)、緊張(30%)、強迫傾向(23%)、全般性不安(28%)の症状を発症していることが明らかになりました。数は少ないですが、うつ病PTSDの症状も認められました。1.5〜5歳のサブグループでは、12%の患者で内面的な症状が出現しました。

これらのデータは、長期コロナ症が神経学的問題のみならず、心理学的および長期にわたる認知的側面を含む様々な広範な症状を呈することを示しています。著者らは、長期コロナ症のこれらの側面として、もし症状が適切に診断・治療されなければ、小児や青年の生活の質(QOL)を著しく損なう可能性があると指摘しています。

上述したように、最近の研究では、成人COVID-19集団と小児COVID-19集団の間に類似した脳のパターンがあることが判明しています。Guidoら [11] は、COVID-19感染と異なる年齢層における神経精神症状の持続、種類、重症度との関係を明らかにするために、より大規模なコホートでさらに縦断的研究を実施すべきであり、その知見が、慢性症状のリスク軽減を目的とした予防活動の計画に役立つ可能性があると述べています。

COVID-19感染後の子どもにおける精神神経症状の大きな問題として、それが感染によるものなのか、それともパンデミック対策による外出禁止や社会的制限などの結果なのかを区別することができるかということです [5]。この識別判断は、感染時に検査を受け、適切に確定診断されていないと著しく困難になります。したがって、COVID-19に罹患した子どもは、適切な診断とフォローアップが必要であり、症状のスクリーニングを受け、必要に応じて集中的な検査評価が行われるべきであるとされています。

長期コロナ症に対する特別な治療法は、今のところありません。ほとんどの場合、対症療法と支持療法のみが必要です。長期コロナ症の定義をより標準化し、因果関係を確立し、様々な治療法と異なるウイルス変異体の影響を評価することが必要です。さらに、ワクチン接種が長期コロナ症を軽減するという報告もありますが、その影響・効果を見るためには、さらなる研究が必要でしょう。

3. 国内の状況

日本における子ども、小児の長期コロナ症の調査研究については、世界に比べると遅れているようです。ましてや長期コロナ症の精神的、心理的障害に関しては、症例としてあちこちの現場医師から断片的な声が聞こえてきますが、系統的に調べられていないのではないでしょうか。

このような中、日本小児科学会の研究チームが、今年5月1日、国内の子どもの長期コロナ症の実態について罹患後の「後遺症」として発表しました [12, 13, 14]。発症から1カ月以上たっても続く後遺症は、3.9%に見られたとしています。この割合は、上記した海外の長期コロナ症の割合 [9] と比べて随分低いです。症状は発熱やせき、嗅覚障害、倦怠感などが目立ち、入院したり、学校や保育園などを休んだりしたケースもあったとしています。

私は、日本人研究者による子どもの長期コロナ症に関する論文はないか、PubMedGoogle Scholarで検索してみました。その結果、以下の一つを見つけることができました。

この研究では、2021年2月から2022年10月までに岡山大学病院を受診した長期コロナ症患者452名の診療録に基づいて、10代54名(11~18歳)の臨床的特徴を成人と比較検討しています [15]。 10代で最も頻度の高い症状は疲労(56%)であり、成人でも同様でした。一方、2番目としては頭痛が多く、これは成人の割合よりも有意に高いことがわかりました(35.2%対21.9%、p<0.05)。オミクロン変異型では疲労と頭痛が主な症状でした。 在校生のうち、56%は長期コロナ症のために学校に行けず、また、欠席理由として最も一般的な症状は、疲労(86%)、頭痛(43%)、不眠(32%)でした。

さらに、J-Stageで「コロナ、後遺症、子ども」というキーワードで検索をかけたところ、175件がヒットしましたが、原著論文はなく、子どもの後遺症に関する妙録や記事もほとんど見当たりませんでした。

その中でも、唯一と言っていいくらい、長期コロナ症と子どもの発達困難との関係に言及した学会大会の研究発表 [16] が目にとまりました。しかし、日本の事例というよりは海外の研究の紹介と考察が主でした。COVID感染の有無にかかわらず、子どもの倦怠感が同程度に起こっており、学校閉鎖、教育崩壊、家庭の混乱もあり、パンデミックはすべての子どもにとって脅威であるとして、コロナ禍で急増する摂食障害・チック・うつ病・不安症の増加などをも含めて、子どもの実態や支援ニーズから検討していくことが不可欠であるとしています。

このように、日本では、長期コロナ症も含めてCOVIDパンデミックが及ぼした子どもの精神的、心理的影響についての研究は、きわめて遅れているという印象です。日本の研究の状況が決定的にダメだと思うのが、研究の少なさ、遅れもありますが、それ以上に厚生労働省が感染による影響を無視しているとも思われる点にあります。それどころか、コロナ禍で生じた子どもの精神障害心理的問題が過剰な感染対策にあるとして、中心研究グループが脱マスクなどの旗ふり役をやっていることです。

厚生労働科学特別研究事業として「コロナ×母子保健研究」が行なわれており、その成果発表の場として、今年5月15日、「新型コロナウイルス感染症(COVID 19 )に関連する母子保健領域の研究報告シンポジウム」が開催されました。このシンポジウムで「新型コロナウイルスの小児への影響の解明のための研究」(研究代表者:細矢光亮 [福島県立医科大学小児科学講座教授])が報告されており、「国内における子どものCOVID-19の疫学と臨床的特徴」として以下のようにまとめられています [17]

1)  無症状・軽症であることが多い(稀ではあるが重症化することもあり)。2) 予防のためには成人家族が家庭内に持ち込まないことが重要であり、手洗い等の対策を行うことが大切である。3) 正確かつ迅速で継続性のある疫学情報に基づいて、心身の発達への影響も考慮しつつ、子どもに対するCOVID-19対策を講じることが重要である。4) 変異ウイルスが小児に感染しやすい、あるいは重症化しやすいといったデータは現時点では明らかではない。

このように、長期コロナ症(long COVID)、後遺症という言葉は一切出てくることはなく、したがって、長期コロナ症が子どもに及ぼす精神的、心理的悪影響にも目が行くはずもありません。子どものCOVID-19は無症状・軽症であるという認識の下、「心身の発達への影響も考慮しつつ」というところは、あくまでも過剰な感染対策(物理的制限)がもたらしたというニュアンスで語られています。

上記の分担研究者として、テレビでお馴染みの森内浩幸教授(長崎大学)の名もあります。森内氏の研究内容と見解は報告としてまとめられており、過度な日常生活制限は、子どもの遊ぶ・学ぶ権利を奪い心身の発達へ影響することが懸念されるというのが主旨になっています [18]

森内氏の報告には、「コロナ禍の子どもたち」というパラグラフのなかに彼の見解が要約されているので、それをそのまま以下に引用します。ここには、子どもの長期コロナ症への懸念は一切見られません。

副作用はワクチンや薬だけに起こるわけではなく、マスクやソーシャルディスタンシングやイベント中止のような感染予防策によっても起こり、特に子どもたちはその副作用をより強くより長期間(一生?)受けてしまう。

感染対策をどんなに強化しても段々その効果は頭打ちになり、感染リスクはゼロにならない。その一方、感染対策を強化していくほど、子どもの心の発達が損なわれ、心の健康が蝕まれる。子どもたちはCOVID-19に罹っても重症化はまれなのに、子どもたちが押し付けられている今の生活のために、間接的に大きな被害が及んでいる。予防接種、健診、子育て支援の機会が失われ、医療的ケア児の支援が滞る。学校に行けなくなると、単に教育の機会を奪うだけではなく、子どもを抑うつ傾向・情緒障害に陥らせる。また学校給食や子ども食堂の食事で食いつないでいた子どもたちはひもじい思いをする。また福祉の手が十分に及ばないなか、家庭内暴力や虐待のリスクが増加する(図7)。

私は極論〜子どもにはマスクは一切要らないとか、学校行事もまったく普通に行ってよいとか、感染が広がっても学級閉鎖しなくてよいとか〜を主張している訳ではない。たとえば、懸念すべき変異株が広がる恐れがあり、それに対するハイリスク者がワクチンの追加接種を行い、病床・人材・治療薬の確保等の医療体制の準備を行うまでの時間を稼ぐためには、子どもたちの間での感染拡大も可能な限り防ぐことが求められるだろう。でもそれは大人たちが子どもを犠牲にすることを自覚しつつ、子どもたちに「お願い」することである。

2022年夏の甲子園で話題になった仙台育英の監督の言葉でもないが、子どもたちの本来のあり方は「密」である。高校生も中学生も小学生も、就学前の子どもたちも、この数年間子どもらしい活動ができず、思い出も作れず、なんでもダメダメといわれ続けて暮らしてきた。子どもたちを感染から守ることだけしか考えず、本当に子どもたちの今、そして未来を犠牲にしていないか?私たち大人は責任をもって対応するべきである

おわりに

上述したように、COVID-19感染後の子どもにおける精神的、心理的障害の大きな問題として、それが表面上感染によるものなのかどうかわからないということです。この意味で、感染の検査・診断とフォローアップがきわめて重要なわけですが、初期のPCR検査でさえ陽性となる可能性が成人よりかなり低いということを考えれば、より慎重を期するガイドラインが必要だと思われます。迅速抗原検査であれば、なおさら見逃される可能性が高いでしょう。

現場の医師のなかでは、子どもの感染や長期コロナ症のリスクについて警鐘を鳴らす声もある [19] 一方で、過剰な感染対策の心身へのデメリットを強調しながら、「脱マスクで日常を取り戻そう」と語る人もいます [20]。感染対策の緩和は「子どもは風邪をひいたり、感染症にかかったりしながら獲得免疫を身につけていく」という面で必要だとする論調も枚挙にいとまがありません。

子どもは「感染で免疫を鍛えていく」というのは俗説であり、かえって長期的には害になる可能性が高いという研究も出てきています。たとえば、免疫系は成長とともに発達し、呼吸器粘膜表面のマイクロバイオームの構築と連動しているため、乳幼児の時期の感染はそこに何らかの障害が生じ、生涯にわたる肺の健康に影響を及ぼす可能性がある、という研究 [21] がそれです。

残念ながら、いま日本を覆う「日常を取り戻す」という精神論の発信源は、厚労省とその周辺の専門家たちのようです。彼らは(意図的にか?)COVID感染や長期コロナ症の影響を無視し、「子どもの遊ぶ・学ぶ権利」を盾に、マスクを含めた感染対策の緩和に走っているようです。

コロナ禍における非医薬的対策(様々な物理的制限)が「子どもの心理面に影響を及ぼした」というのは世界共通の認識です。しかし、日本独特とも言える「過剰な対策が子どもに影響を与えた」一辺倒で感染対策の緩和に走り、その結果、感染を促し、子どもの健康を損なうようでは本末転倒のことだと言えます。その意味で、感染対策緩和と関心が薄れた状況下での第9波流行(EG.5.1が急台頭)はまさに脅威なのです。

引用文献・記事

[1] Davis, H. E. et al.: Long COVID: major findings, mechanisms and recommendations. Nat. Rev. Microbiol. 21, 133-146 (2023). https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9839201/pdf/41579_2022_Article_846.pdf

[2] Laura Cannon et al.: Multisystemic inflammatory syndrome in children and Kawasaki disease: Parallels in pathogenesis and treatment. Curr. Allergy Asthma Rep. 23, 341-350 (2023).  https://doi.org/10.1007/s11882-023-01083-0

[3] Ailioaie, L. M. et al.: Infection, Dysbiosis and Inflammation Interplay in the COVID Era in Children.  Int. J. Mol. Sci. 24, 10874 (2023). https://doi.org/10.3390/ijms241310874  

[4] Sansone, F. et al.: Long COVID in children: A multidisciplinary review. 
Diagnostics 13, 1990 (2023). https://doi.org/10.3390/diagnostics13121990

[5] Kumar, P. and Jat, K. R.: Post-COVID-19 sequelae in children. Indian J. Pediatr. 90, 605-611 (2023). https://doi.org/10.1007/s12098-023-04473-4

[6] Buonsenso, D. et al.: Viral persistence in children infected with SARS-CoV-2: current evidence and future research strategies. Lancet Microbe Published June 26, 2023. https://doi.org/10.1016/S2666-5247(23)00115-5

[7] Constantin, T. et al.: Multisystem inflammatory syndrome in children (MIS-C): Implications for long COVID. Inflammopharmacology Published July 17, 2023. https://doi.org/10.1007/s10787-023-01272-3

[8] NIH COVID-19 Treatment Guidelines: Special considerations in children. Last updated July 21, 2023. https://www.covid19treatmentguidelines.nih.gov/management/clinical-management-of-children/special-considerations-in-children/

[9] Pereira, S. M. P. et al.: Long COVID in children and young after Infection or reinfection with the Omicron variant: A prospective observational study. J Pediatr. 259, 113463 (2023). https://doi.org/10.1016/j.jpeds.2023.113463

[10] Jha, S. and Mehendale, A. M.: Increased incidence of obesity in children and adolescents post-COVID-19 pandemic: A review article. Cureus. 14, e29348 (2022). https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9582903/

[11] Guido, C. A. et al.: Neurological and psychological effects of long COVID in a young population: A cross-sectional study. Front. Neurol. 13, 925144 (2022). https://doi.org/10.3389/fneur.2022.925144 

[12] 静岡新聞: 子どものコロナ後遺症3・9% 発症1カ月以上、小児科学会調査. 2023.05.01. https://www.at-s.com/news/article/national/1233892.html

[13] 静岡新聞:「終わった宿題なのに、繰り返しやってしまう」コロナ後遺症、子どもでも記憶障害や倦怠感 長引けば受験や就職に影響する恐れ. 2023.05.12. https://www.at-s.com/news/article/national/1239054.html

[14] NHK NEWS WEB: コロナ感染後1か月 発熱やせきなど症状 子ども 約4% 学会分析. 2023.05.05. https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230505/k10014057751000.html

[15] Sakurada, Y.: Trends in long COVID symptoms in Japanese teenage patients. Medicina 59, 261 (2023) . https://doi.org/10.3390/medicina59020261 

[16] 能田昴ら: 新型コロナ後遺症(Long COVID)と子どもの発達困難に関する議論の動向 . 日本教育学会大會研究発表要項 81, 255-256 (2022).
https://doi.org/10.11555/taikaip.81.0_255 

[17] 細矢光亮(研究代表者): 新型コロナウイルスの小児への影響の解明のための研究. 厚生労働特別研究・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連する母子保健領域の研究報告シンポジウム. 2023.05.15. https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000779606.pdf

[18] 森内浩幸: 小児領域. シンポジウム「COVID-19の最新知見(小児単位)」 Neuroinfection  28, 27–34(2023)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnd/28/1/28_27/_pdf/-char/ja

[19] 久保田智子: “風邪と同じだから大丈夫”はとんでもない暴論」子どものコロナ後遺症 軽視できないデータと当事者の証言. TBS NEWS DIG. 2022.08.07. https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/114772?display=1

[20] 麻生珠恵: マスクをつけ続ける子どもたち。心身へのデメリットを懸念。マスクをはずして日常を取り戻して【小児科医】. たまひよONLINE/Benesse 2023.06.29更新. https://st.benesse.ne.jp/ikuji/content/?id=164644 

[21] Lloyd, C. M. and Saglani, S.: Early-life respiratory infections and developmental immunity determine lifelong lung health. Nat. Immunol. Published July 6, 2023. https://doi.org/10.1038/s41590-023-01550-w

引用したブログ記事

2023年7月16日  コロナ流行が及ぼした子どもの心への影響ーマスクの影響は?

      

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年)