Dr. TAIRA のブログII

環境と生物、微生物、感染症、科学技術、生活科学、社会・時事問題などに関する記事紹介

#感染症

A群溶血レンサ球菌感染症の広がりの謎

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2024年) いま日本では、COVID-19流行もさることながら、A群溶血性レンサ球菌 Streptococcus pyogenes (A群溶連菌)による感染症が広がっています。英ガーディアン紙は、日本のこの出来事を、「希少だが危険な細菌感染症が日…

感染症とCOVID-19 (2024年)

5月↓ 日本人のマスク着用は社会的規範に影響されない 4月↓ 長期コロナ症についてわかったこと、わからないこと 軽症COVID-19から回復した人のウイルス持続性 COVIDウイルスの体内持続性は何を意味するのか? 3月↓ 酒に弱い人はコロナに防御的? A群溶血レン…

感染症流行に際して免疫負債論を考える

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに フランスの医師らによって提唱された「免疫負債(immune debt)」仮説 [1] は、閉鎖的生活などによって長らく病原体に曝されない状態が続くと免疫が低下し、社会生活が正常に戻ったときに感染症に罹りやすく…

2023年を迎えてーパンデミック再考

カテゴリー:感染症とCOVID-19(2023年) 2023年を迎えました。新春早々には明るい未来について語りたいものですが、やはり気になるのはパンデミックです。1年前には「2022年を迎えてーパンデミック考」を記しましたが、ここでまたパンデミックについて簡単…

感染症とCOVID-19 (2023年)

2023年11月↓ 地球環境変動とスピルオーバー感染症の脅威 認知の霧の中にいるという米国人が増えている 感染対策としての手洗いの効果 2023年10月↓ 戦略的マスクキングと世界標準から外れた日本のマスク事情 感染症流行に際して免疫負債論を考える 「給食時の…

子どもへのCOVIDワクチンの影響:NEJM vs. デイリー・セプティック

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) 最近、子どもに対する COVID-19 mRNAワクチンの効果に関する調査研究結果が、コレスポンデンス論文としてニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)誌に掲載されました [1]。これは、米ノースカロ…

被害拡大させて規制緩和する不思議な国

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 日本国内の新型コロナウイルスの感染者数の累計は、今日時点で2000万人を超えました [1]。 このわずか2カ月弱で1000万人も増えたことになります。オミクロン変異体亜系統のBA.5ウイルスの伝播力の凄まじさ…

コロナ被害の認知的錯覚による誤解

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる感染者数、重症者数、死者数などは、毎日各々の実数が報告されています。私たちはこれらを参考にしながら、流行や被害の状況を知ることができます…

新型コロナウイルスはどのように、どこまで変異するのか

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) カテゴリー:ウイルスの話 はじめに 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が媒介するCOVID-19は、今なお世界中に被害をもたらしています。最も困難な問題の一つは、このウイルスのゲノム配列が継続的に変異・進化してい…

全数把握見直しをめぐる混乱と問題

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規陽性者は、7月終わり頃から20万人を超える日が多くなり、入院患者と自宅療養者の数は200万人近くに達し、医療崩壊に至りました。それに伴い、新規…

ウィズコロナの不平等リスクが顕著化した日本

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに オミクロン変異体BA.5亜系統による第7波流行は、不幸にして急拡大し、犠牲者を増やし続けています。これは、ウィズコロナ戦略における不平等リスクが、政府、為政者の不作為によって、そして担当専門家によ…

米CDCガイドラインとwithコロナ

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 昨日(8月12日)、このブログで、米国CDCのCOVID-19対策に関する改訂ガイドラインを紹介しました(→COVID-19インパクトの最小化ー米CDCガイドライン)。このガイドラインはパンデミック対策の主旨がきわめ…

COVID-19インパクトの最小化ー米CDCガイドライン

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 米国CDCは、8月11日(現地時間)、COVID-19の感染症対策や公衆衛生に関するガイドラインを改訂しました [1]。日本のメディアは早速これをとりあげていますが [2]、「米CDC、コロナ感染者の接触者は隔離不要…

起こるべくして起こった医療崩壊、そして専門家有志提言の無味乾燥感

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 全国で感染拡大が止まらない新型コロナウイルス(オミクロン変異体亜系統BA.5)の第7波ですが、もはや検査による患者確定が追いつかず、頭打ちの様相を呈してきました。欧米先進諸国は全数把握をやめていま…

ゾンビのように復活した「37℃, 4日以上」のなぜ?

はじめに パンデミックが始まった当初に政府や専門家から出された悪名高い、いわゆる「37℃, 4日間」の受診の目安は、まだ記憶に新しいところです(→新型コロナ受診の見直しについて思うこと)。私は、コロナパンデミックの間、このフレーズを聞くことは二度…

「コロナが5類引き下げになったら」で想像できること

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 現在、ウィズコロナ(living with the coronavirus)という言葉はすっかり定着した感がありますが、誤解も多い言葉です。英国で生まれたこのフレーズ [1] に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染…

見えてきた第7波流行での最悪の被害

はじめに 今から1ヶ月ちょっと前のブログ記事で、この夏はオミクロン変異体の亜系統ウイルスBA.5による第7波流行に見舞われること、そしてパンデミック以来最悪の被害になりかねないことを述べました(→この夏の第7波?流行)。すでに、1日の新規陽性者数…

ケンタウロス(BA.2.75)の脅威?

いま日本を席巻している新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、オミクロン変異体から派生したBA.5ウイルスです。この2、3日、20万人/日を超える新規陽性者を記録しています。ただ、検査陽性率が50%を超えることも多い現状や、オミクロン系統には特に感度が悪…

感染症とCOVID-19 (2022年)

2022年12月↓ 第8波流行でまた最悪被害を更新か SARS-CoV-2:史上最大の隠蔽工作 2022年11月↓ コロナ感染男性は精子濃度が低下する 「屋外でマスクは不要」キャンペーンの危険性 パンデミックの行方 免疫負債? スパイクタンパク質とスパイクmRNAの核内移行 …

コロナ禍で気になる若者の移動とマスク

一昨日(12月3日)、新型コロナウイルス感染症対策対策アドバザリーボードの会合が開かれました。その時の資料を見ていて気になったというか、やはりというか、若者の移動が主体的に二次感染を引き起こしているという事実についてです。今朝の日本テレビ「ウ…

無症状者から広がるウイルス感染とGoToトラベルへの示唆

2020.11.24: 20:08更新 はじめに 今朝(11月24日)のテレビ朝日「モーニングショー」を観ていたら、コメンテータの玉川徹氏が、無症状者(無症候性+発症前無症状)からの新型コロナウイルスの感染についてコメントしていました。無症状者が媒介するウイルス…

為政者と専門家の想像力のなさが感染拡大を招く

2020.11.20. 20:55更新 はじめに 11月19日、東京では新規陽性者が初めて500人を超えて534人となり、全国では2388人を数え、これまでの最多となりました(図1)。これから、しばらく各地で記録が更新されていくでしょう。個人的には緊急事態宣言発出の段階だ…

連日の千人超えは危険信号

2020.11.08:00:05更新 今日(11月7日)の全国の新型コロナウイルスSARS-CoV-2新規陽性者は、1,331人になりました(図1)。一昨日の1,048人、昨日の1,145人と3日連続の1,000人超えであり、5都道府県で100人を超えています。今日は土曜日で、米国大統領選挙の…

冬に向けて大流行の兆し

はじめに 今朝(11月1日)のTBSテレビ「サンデーモーニング」で、ヨーロッパにおいて、そして国内では北海道や宮城県において、新型コロナウイルスSARS-CoV-2の新規陽性者が増加していることを伝えていました。陽性者数が増えている要因として気温低下や湿度…

COVID-19パンデミックの科学的コンセンサスー私たちは今行動すべき

2020.10.18: 23.49更新 10月15日、医学雑誌ランセット(The Lancet)に、"Scientific consensus on the COVID-19 pandemic: we need to act now"というタイトルの書簡記事が掲載されました [1](図1)。このブログのタイトルはそれを邦訳したものです。この…

"Long COVID"という病気

はじめに 昨日(10 月 11 日)、NHK のテレビ番組「令和未来会議」で、「COVID-19 流行下において、感染拡大防止と経済活動のバランスをどう考える?」というテーマで、討論会が行なわれました。参加者は、大学教授、医師、感染症対策の専門家、フリーアナウ…

世界と比べた日本の今の流行ー第1波から何を学んだのか?

2020.10.10: 08:15 a.m. 更新 10月に入り、日本はついに、新型コロナウイルス感染症COVID-19の累計陽性者数で中国を抜いてしまいました。10月6日、この件についてツイートしましたが↓、10月8日0:00現在(厚生労働省)の累計陽性者数は 86,571人、累計死者数…

今年の冬の新型コロナ・インフル検査・診断は大丈夫?

はじめに 今年の冬は、新型コロナウイルス感染症 COVID-19 とインフルエンザの同時流行が懸念されています。しかも、新型コロナについては、今まで以上の流行になる可能性があります。それに備えて、検査体制の拡充やインフエンザワクチンの接種を促すメッセ…

コロナ禍の社会政策としてPCR検査

はじめにーソフトバンクの試み ソフトバンクグループ株式会社の孫正義社長は、2020年9月24日、子会社として新型コロナウイルス検査センター株式会社(千葉県市川市 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター国府台病院内)を本格稼働させたことを発表しま…

菅政権の新型コロナ対策の危うさ

2020.09.20: 13:45更新 はじめに 菅義偉内閣が、9月16日、発足しました。菅総理自身は「安倍政権の継承」を表明し、「国民ために働く内閣」というスローガンも打ち出しました [1]。主要閣僚は実績と安定を重視する守りの布陣と言えます。ただ、派閥均衡を意…