Dr. TAIRA のブログII

環境と生物、微生物、感染症、科学技術、生活科学、社会・時事問題などに関する記事紹介

#感染症

菅政権の新型コロナ対策の危うさ

2020.09.20: 13:45更新 はじめに 菅義偉内閣が、9月16日、発足しました。菅総理自身は「安倍政権の継承」を表明し、「国民ために働く内閣」というスローガンも打ち出しました [1]。主要閣僚は実績と安定を重視する守りの布陣と言えます。ただ、派閥均衡を意…

巷に氾濫する新型コロナのPCR検査に関する誤謬記事

カテゴリー:感染症とCOVID-19 2020.09.09: 10:15 a.m. 更新 このところ、相変わらずというか、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の PCR 検査に関するデマおよび詭弁を載せたウェブ記事を見かけることが多くなりました。このブログでは、最近のこの手の2つ…

新型コロナについて詭弁を続けるウェブ記事–1 超過死亡はない?

はじめに インターネットメディアであるBuzzFeedの岩永直子氏は、新型コロナウイルス感染症COVID-19に関する記事をシリーズで流しています。タイムリーな話題を記事にすることはいいのですが、問題はその中身です。これまでの全部の記事が、いわゆる政府より…

学会の検査の捉え方と1日20万件の検査の不思議

はじめに 安倍総理大臣は、2020年8月28日、辞意表明を行うとともに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のパッケージの中身の一つとして1日20万件の検査を行なうことを発表しました。現在の検査能力と比べると、20万件/日という検査数はかなり増える…

新型コロナ流行の再燃と失敗を繰り返す日本

はじめに 安倍総理大臣は、8月28日、記者会見で辞意表明すると同時に新型コロナウイルス感染症に対する対策の見直しをパッケージとして発表しました。しかし、相変わらずの成果・検証抜きで新たな目標設定を行なうやり方であり、実効性は不明です。つまり、…

コロナ禍で氾濫するPCR検査に関する詭弁

はじめに コロナ禍の日本において顕著になったことの一つとして、PCR検査に関する詭弁やデマの流布があります。そして、これらがいわゆる感染症対策の中心を担う"感染症コミュニティ"から発信されることで、異常とも言える混乱を招いてきたという事実があり…

PCR検査の偽陰性率を推定したKucirka論文の見方

はじめに 米国ジョンズ・ホプキンズ大学のL. M. Kucirka博士らの論文"Variation in false-negative rate of reverse transcriptase polymerase chain reaction–based SARS-CoV-2 tests by time since exposure"が、Annals of Internal Medicine 誌オンライン…

新型コロナウイルスに対するBCGワクチンの有効性に関する新たな知見

はじめに 米国の研究チームによる興味深い論文が、2020年8月13日、電子出版されました [1]。どこが興味深いかと言うと、新型コロナウイルスSARS-CoV-2のエンベロープのタンパク質が結核菌やらい菌の仲間であるマイコバクテリア(mycobacteria)の抗原タンパ…

発症前から発症時の感染者のウイルス伝播力が強い?

はじめに 先日、韓国の研究チームによる「SARS-CoV-2の無症候性感染者と発症者のウイルス保持量はあまり変わらない」とする研究成果 [1] を紹介しました(→無症状感染者は発症者と同じウイルス量を保持する)。そしたら、今度は英国イングランド公衆衛生局(…

無症状感染者は発症者と同じウイルス量を保持する

はじめに 新型コロナウイルス感染症においては無症状の感染者の割合が高いことは常識になっていますが、無症状者が発症者と同じだけのウイルス量を保持しているか、そしてどの程度の感染力(伝播性)を有しているかということについてはよくわかっていません…

政府分科会が示した感染症対策の指標と目安への疑問

はじめに 現在、日本では、新型コロナウイルス感染症COVID-19の再燃流行状況下(マスコミが言う第2波)にあります。これに際して、政府分科会は、8月7日、感染症対策の指標と目安を含めた提言を行ないました。しかし、この提言には疑問に思う点があります。…

ウイルスの分子疫学と沖縄の流行把握への期待

2020.08.08: 15:29更新 国立感染症研究所は、8月5日、国内の新型コロナウイルス感染症の流行に関して最新のSARS-CoV-2のゲノム解析に関する中間報告をホームページ上に公開しました [1]。同研究所によれば、国内患者3618人、クルーズ船「ダイアモンドプリン…

長崎モデル−初のPCR集合契約

政府は5月25日の緊急事態宣言解除後、社会経済活動の促進に舵を切りました。感染が収束したら導入と言っていたはずのGoToトラベル事業も、東京除外ながら強引に始めました。しかしながら、経済を回すための新型コロナウイルス感染症対策がなかなか進みません…

全国で新規陽性者1000人超え

今日、日本全国における新型コロナウイルス新規陽性者数が1,000人を超え、1,252人となりました。そして9府県で1日当たりの新規陽性者数を更新しました。すなわち、大阪221人、福岡101人、愛知167人、沖縄44人、京都41人、岐阜30人、栃木16人、三重10人、鳥取…

PCR検査拡充非合理論の根っこにあるもの

2020.07.26: 08:25am 更新 昨日(7月24日)、「PCR検査陽性は感染者を直接あらわすものではない」という言述を二度見聴きしました。もちろん新型コロナウイルス感染症COVID-19に関するものです。 一つは、テレビの情報バラエティー番組「ゴゴスマ」での愛知…

コロナ禍のこの期に及んでも何もしない国

昨夜(7月21日)のテレビの報道を観ていたら、米国での新型コロナウイルスSARS-CoV-2の陽性者数が、現在一日あたり6〜7万人と最悪のペースで増え続けている中において、ニューヨーク市では、7月19日には陽性者数が5人、死者がゼロになったことを伝えていまし…

早期の検査・隔離が重要

はじめに 7月16日、新型コロナに関する政府分科会が開催され、GoToトラベルの「東京発着旅行は対象外」とする政府案を承認しました [1]。懸念していたことですが、さっそくこの分科会が、「旅行自体は問題ない」として、コロナ禍でもGoTo事業を推進するとい…

感染拡大防止と社会経済活動の両立の鍵は検査

はじめに COVID-19流行の中で、いかにして社会生活や経済活動を維持していくかということは大きな課題です。国や東京都は、感染症対策と経済活動の両立を掲げていますが、いざ感染症対策となると、これと言った具体的対策は現在ないように思えます。 とはい…

新型コロナ分科会への期待と懸念

はじめに 政府の旧専門家会議が発展的に解消・改組されてできた新型コロナウイルス感染症対策分科会は、昨日(7月6日)、初会合を開きました。昨日、今日とメディアはこの話題を取り上げています。テレビから流れる画像や新聞が伝える内容を参照しながら、こ…

流行第1波の再燃

はじめに 7月に入り、新型コロナウイルスSARS-CoV-2の陽性確定者が増えてきました。東京都では二日続けての100人越えです。もっとも東京都の集計はどうもはっきりしないところがありますので、先月からすでに急激に増えていた可能性もありませす。とはいえ、…

東京都の新しい指標で思ったこと

東京都は6月30日夕方、今後の新型コロナウイルス感染症への警戒を呼びかけるための新たな指標を公表しました。今朝の(7月1日)の大手新聞の扱いは小さいですが(たとえば朝日新聞は26面)、一応にこの新指標を報道しており、テレビのワイドショー・ニュース…

新型コロナウイルス抗体検査の状況ー抗体は長続きしない

はじめに 前のブログ記事「新型コロナウイルス抗体検査陽性の意味」では、新型コロナウイルスSARS-CoV-2の抗体検査の陽性の意味について考えました。ある人が抗体検査を受けて陽性の反応が出れば、単純にSARS-CoV-2に感染したという証明になります。これが抗…

新型コロナ死亡の情報を不明確にする行政

はじめに 先のブログ記事「超過死亡に見る日本の新型コロナ対策と医療事情」で、日本のこの春における超過死亡と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策との関係について記しました。例年と比べて都府県によっては10%以上も高い超過死亡が出ていることは…

超過死亡に見る日本の新型コロナ対策と医療事情

はじめに 昨日(6月12日)、新聞、ウェブ記事、テレビニュースを観ていたら、一斉に日本のこの春における超過死亡が多いことについて報道していました。そこでこれらの記事を紹介しながら、日本の新型コロナ対策と医療事情との関係について考えてみたいと思…

PCR検査の精度と意義ー神奈川県医師会の見解

カテゴリー:感染症とCOVID-19 先のブログ記事「 PCR検査の精度と意義 」で、日本ではPCR検査の「感度」や「特異度」を持ち出しながら、PCRの精度が悪いとか、検査は無意味という見解が多くみられることを紹介しました。この見解は、もっぱら「検査を広げる…

ウイルス感染症へのビタミンKの効果

私は以前から納豆を食べる習慣のある日本人は、ウイルス感染症にかかりにくいのではないか?と勝手に想像してきました。納豆には納豆菌(正式和名:枯草菌、学名:Bacillus subtilis)が豊富に含まれており、枯草菌の細胞中にはビタミンKが存在します。つま…

唾液のPCR検査

はじめに 今日(6月2日)、厚生労働省は、新型コロナウイルスSARS-CoV-2の感染の有無を調べるPCR検査について、唾液を採取して検体とする方法を承認しました [1]。この唾液検査は保険適用となります。5月11日に、早ければ5月中にも承認する方向で検討してい…

PCR検査の精度と意義

2020.06.08: 21:05 更新 はじめに 今日(6月1日)、テレビのワイドショーを観ていたら、PCR検査の意義に関する話題を取り上げていました。また新聞にもPCR検査の意義についての記事がありました。これらを見聞きしていると、PCRに関する情報の混乱やバイアス…

再燃に備えて今こそとるべき感染症対策

はじめに 5月25日に緊急事態宣言が全国解除され、それから一週間が経ちました。昨日における全国のSARS-CoV-2新規陽性者数は35人、東京は5人と少数です。しかし、決してゼロにはなっていないことには注意しなければなりません。先のブログ記事「世界が評価す…

専門家会議の5月29日記者会見とその記事への感想

はじめに 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は、5月29日 、記者会見を行いました。出席メンバーは座長の脇田隆字氏(国立感染症研究所・所長)、副座長の尾身茂氏(独立行政法人地域医療機能推進機構・理事長)、押谷仁氏(東北大学教授)、それにクラ…