Dr. TAIRA のブログII

環境と生物、微生物、感染症、科学技術、生活科学、社会・時事問題などに関する記事紹介

#COVID-19

COVID-19の年代別死者数の推移

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに COVID-19パンデミックでは、日本は流行波が襲来する度に健康被害と犠牲を大きくしてきたのは周知の事実です(図1)。特にオミクロン波が訪れて以降、感染者数が爆増し、第8波で死者数は最多となりました。こ…

鼻スプレーで感染予防?

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに 先日、シュプリンガー・ネイチャーから定期配信される雑誌目次一覧を見ていたら、興味深い記事が目にとまりました。Nature Communications 掲載の論文で、特定の糖脂質を鼻から吸いこむことで、SARS-CoV-2、…

日本での第9波のなか、下水データは米国での新たな流行の始まりを示す

カテゴリー:感染症とCOVID-19(2023年) はじめに 今日、COVID-19に関する興味深いウェブ記事 [1] に目が留りました。「日本では第9波流行が席巻する中、下水データは米国での新たな流行の始まりを示す」(As ninth COVID wave sweeps Japan, wastewater da…

コロナ流行が及ぼした子どもの心への影響ーマスクの影響は?

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに COVIDパンデミックは、感染による身体への直接的な健康被害のみならず、人々に大きな精神的な悪影響をもたらしています。特に子どものメンタルヘルスへ及ぼす影響が大きいことは、パンデミックが始まった直…

感染対策の緩みとともに襲来した第9波流行

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) 日本ではCOVID-19流行の第9波が襲来しています。この1週間余りの政府のSNS上の発信、メディアの報道、専門家の発言などから、流行の現状を考えてみましょう。そこから見えてくるのは、流行の実態と政府・メディアの認…

室内二酸化炭素濃度によるコロナ空気感染確率の推定

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに COVID-19は、SARS-CoV-2の空気感染(エアロゾル感染)によって主に伝播していくことが知られています。したがって、閉所・室内環境の感染防止では換気や空気浄化が重要になるわけです。換気効果の指標として…

子どもが感染を拡大させる

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに 米国ボストン小児病院などと台湾の共同研究グループは、米国の約85万世帯の COVID-19 感染の70.4%が子どもから広がっているという研究結果を報告しました。この報文は、6月1日付けの JAMA Network Open に…

SARS-CoV-2の進化と将来のシナリオ

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) 世界保健機構(WHO)は、5月5日、COVID-19に関する「世界の公衆衛生上の緊急事態」(the public health emergency of international concer, PHEIC) の宣言の終了を表明しました。国内では、5月8日、政府がこの感染症…

都道府県で異なるオミクロン死亡割合の要因は?

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2023年5月8日、感染症法の分類における位置づけが5類になりました。この措置に伴って、様々な疫学・感染情報の報告が制限あるいは中止されることになりました。そ…

コロナ流行を繰り返す日本が感染対策を放棄

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) 今日(5月8日)、COVID-19 の感染症法上の分類が 2 類相当から 5 類に引き下げられました。5 類になると政府や行政による介入措置が一切なくなります。言い換えれば、委ねられていた政府の責任がなくなるわけです。対…

マスクのランダム化比較試験批判

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに 先のブログ記事で、マスク着用の効果なしとしたコクラン・レビューの誤りについて書きました(→「マスク効果なし」としたコクラン・レビューの誤り)。このレビューは、ランダム化比較試験(無作為化 [比較]…

サーベイランス検査の感染予防効果

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに COVID-19感染症の伝播・感染予防にサーベーランス(監視的)検査が有効であることは、このパンデミックの当初から世界的に主張されてきました。これは、無症状者(発症前の感染者や無症候性感染者)が病気の…

コロナ罹患後の自己免疫疾患

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに COVID-19の特徴の一つとして、罹患後に自己免疫疾患や長期症状を発症することが知られています。これらについては多くの症例報告や小規模集団を対象とした研究がありますが、その全貌は明らかにされていませ…

新型コロナは接触感染する

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに 現在、SARS-CoV-2の主要感染様式は空気感染(エアロゾル感染)であるというのは科学的常識になっています。従来言われていた、接触感染や飛沫感染は少ないか稀であるということも認識されています。大きな飛…

ウィズコロナでは終息しないパンデミック

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) 2023年新年度が始まりました。テレビからは「コロナ前の日常に戻りつつあります」というメッセージがよく聞こえてきますが、勝手に人間がそう思っているだけで、COVID-19 パンデミックは続いています。そして、ウィズ…

スピルオーバーに警鐘を鳴らすWHO専門家

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに インドでは、いま、SARS-CoV-2の新しい変異体 XBB.1.16 による感染が増加しつつあります。このXBB亜系統については要注意の状況ですが、Indian Express(IE)は、この流行についてはそれほど大きくならない…

子どもの long COVID について保護者が知っておくべきこと

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、気をつけなければいけないのが long COVID(ここでは長期コロナ症と呼称)です。厚生労働省は罹患後症状と呼んでいて、日本では一般的にいわゆるコロナの後…

SARS-CoV-2感染はDNAを損傷させる

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、日本ではインフルエンザ並みとか風邪のようなものだという声がしばしば聞こえてきますが、大きな誤解です。いまだに当初の呼吸器系の疾患という先入観から抜…

遮断されるパンデミック情報

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) 米ジョンズ・ホプキンス大学(The Johns Hopkins University)は、COVID-19パンデミックが始まって以来、公に貴重な流行情報を提供してきました。しかし、今年3月10日でこの情報提供を終了したようです。NHKもニュー…

感染制御のためのハードル(バランス)理論

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2023年) はじめに 岸田首相はCOVID-19の感染症法上の分類を5類に変更すること、これを5月8日から実施することを表明しました。そしてマスク着用についても個人の判断に委ねるとの考えを示しました。本来マスク着用は感染症法…

感染症法を理解しない日本社会

カテゴリー:感染症とCOVID-19(2023年) はじめに 岸田首相は、1月20日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の分類について、現在の2類相当から季節性インフルエンザと同等の5類へ引き下げることを表明しました。この春の実現について専門家…

最初の感染事例からまる3年

カテゴリー:感染症とCOVID-19(2023年) 日本で最初のCOVID-19感染者が確認されたのは2020年1月15日です。それからまる3年が経ちました。そして2年前の2月13日に最初の死亡者が出ています。当時のブログを振り返ってみると、国内で千人の感染者が確認され…

2023年を迎えてーパンデミック再考

カテゴリー:感染症とCOVID-19(2023年) 2023年を迎えました。新春早々には明るい未来について語りたいものですが、やはり気になるのはパンデミックです。1年前には「2022年を迎えてーパンデミック考」を記しましたが、ここでまたパンデミックについて簡単…

感染症とCOVID-19 (2023年)

2023年11月↓ 地球環境変動とスピルオーバー感染症の脅威 認知の霧の中にいるという米国人が増えている 感染対策としての手洗いの効果 2023年10月↓ 戦略的マスクキングと世界標準から外れた日本のマスク事情 感染症流行に際して免疫負債論を考える 「給食時の…

第8波流行でまた最悪被害を更新か

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) 日本はCOVID-19流行で世界各国とは異なる傾向を示しています。それは、第5波以降、流行ピークが来るたびに、過去最悪の感染者数と死者数を更新していることです。オミクロン変異体になってから、ワクチン接種の効果…

SARS-CoV-2:史上最大の隠蔽工作

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) 英国の日刊タブロイド紙ザ・サン(The Sun)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源について、史上最大の隠蔽工作が行なわれたとするオンライン記事を配信しました [1](下図)。これは、中国の武漢ウイルス研…

コロナ感染男性は精子濃度が低下する

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに COVID-19における罹患後症状(post CoVID-19 conditions)の一つとして、男性の生殖機能低下が懸念されています。SARS-CoV-2は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を通じて宿主細胞内に侵入しますが…

「屋外でマスクは不要」キャンペーンの危険性

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) 2022.11.29更新 はじめに 前のブログ記事でも述べましたが、SARS-CoV-2のオミクロン変異体BA.5は感染力がきわて強く、基本再生産数(R0)は18.6と推定されています。これはオリジナルの武漢型に比べて約6倍、季節性イ…

パンデミックの行方

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめにーコロナ収束の風潮 世界保健機構WHOの事務局長テドロス氏は、今年9月14日の記者会見で「パンデミックの終わりは見えている(The end is in sight)」と発言しました。同時に、パンデミックを終わらせること…

免疫負債?

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに この冬は COVID-19 と季節性インフルエンザのダブル流行になると言われています。メディアは「フルロナ」などというわけのわからない名称も使っています。ダブル流行どころか、RS ウイルス(RSV)も含めた…