Dr. TAIRA のブログII

環境と生物、微生物、感染症、科学技術、生活科学、社会・時事問題などに関する記事紹介

#SARS-CoV-2

2023年を迎えてーパンデミック再考

カテゴリー:感染症とCOVID-19(2023年) 2023年を迎えました。新春早々には明るい未来について語りたいものですが、やはり気になるのはパンデミックです。1年前には「2022年を迎えてーパンデミック考」を記しましたが、ここでまたパンデミックについて簡単…

第8波流行でまた最悪被害を更新か

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) 日本はCOVID-19流行で世界各国とは異なる傾向を示しています。それは、第5波以降、流行ピークが来るたびに、過去最悪の感染者数と死者数を更新していることです。オミクロン変異体になってから、ワクチン接種の効果…

SARS-CoV-2:史上最大の隠蔽工作

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) 英国の日刊タブロイド紙ザ・サン(The Sun)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源について、史上最大の隠蔽工作が行なわれたとするオンライン記事を配信しました [1](下図)。これは、中国の武漢ウイルス研…

コロナ感染男性は精子濃度が低下する

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに COVID-19における罹患後症状(post CoVID-19 conditions)の一つとして、男性の生殖機能低下が懸念されています。SARS-CoV-2は、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を通じて宿主細胞内に侵入しますが…

「屋外でマスクは不要」キャンペーンの危険性

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) 2022.11.29更新 はじめに 前のブログ記事でも述べましたが、SARS-CoV-2のオミクロン変異体BA.5は感染力がきわて強く、基本再生産数(R0)は18.6と推定されています。これはオリジナルの武漢型に比べて約6倍、季節性イ…

パンデミックの行方

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめにーコロナ収束の風潮 世界保健機構WHOの事務局長テドロス氏は、今年9月14日の記者会見で「パンデミックの終わりは見えている(The end is in sight)」と発言しました。同時に、パンデミックを終わらせること…

免疫負債?

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに この冬は COVID-19 と季節性インフルエンザのダブル流行になると言われています。メディアは「フルロナ」などというわけのわからない名称も使っています。ダブル流行どころか、RS ウイルス(RSV)も含めた…

スパイクタンパク質とスパイクmRNAの核内移行

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、特に脆弱な高齢者層に深刻なCOVID-19の病態を引き起こし、SARS-CoVやMERS-CoVよりも高い病原性と感染力を持ちます。表面の突起物であるスパイク(S)タンパク質がヒト…

ヴァリオレーション仮説ーマスクの隠れた効果?

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに このところ、欧州ではCOVID-19流行が再燃しています。また、米国では新しいオミクロン亜型ウイルスの検出が増えてきました。これらを鑑みると、そして海外からの来日制限・検疫が大幅に緩和されたことを考…

新型コロナウイルスは宿主のエピジェネティク制御をかく乱する

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) はじめに 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は2019年末に出現し、COVID-19の世界的大流行(パンデミック)を引き起こしました。その感染拡大の一因としては、ウイルスの宿主細胞の応答を効果的に抑制する能力にある…

ワクチンと抗体医薬が促す免疫回避ウイルスの出現

カテゴリー:感染症とCOVID-19 (2022年) 現在流行のSARS-CoV-2オミクロン変異体は、継続的に進化を続けています。特に医者の中には、今後風邪のようなウイルスになるという人もいますが、それは寓話の域を出ず、どのように進化が収束していくかは現時点で誰…

ケンタウロス(BA.2.75)の脅威?

いま日本を席巻している新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、オミクロン変異体から派生したBA.5ウイルスです。この2、3日、20万人/日を超える新規陽性者を記録しています。ただ、検査陽性率が50%を超えることも多い現状や、オミクロン系統には特に感度が悪…

第7波流行での行動制限なしの社会実験

いま、COVID-19の第7波流行下にある日本ですが、ほんの1ヶ月前は検疫や入国制限が緩和された後でもあり、専門家の間やメディア上で脱マスク論が展開され(→出羽守の脱マスク論)、日本全体でコロナ収束気味の雰囲気でした。折しも、参院選の活動が始まった…

打つ手なしから出てきた5類相当への話

はじめに 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、いま急拡大中です。先月、第7波流行を予測、危惧しましたが(→この夏の第7波?流行)、残念ながらそのとおりの展開になってしまいました。流行の主体として置き換わりが進んでいるオミクロン変異体の亜…

COVID-19パンデミックにBA.4/BA.5変異体がもたらすもの

いま、欧州諸国において、オミクロン変異体の亜系統であるBA.4およびBA.5の流行が拡大しています。日本においてもこの夏はBA.5による大流行(いわゆる第7波)に襲われることは確実です(→この夏の第7波?流行)。政府は第7波につながりかねないとして警戒を…

この夏の第7波?流行

このところ来る参院選の論戦が熱を帯びてきましたが、各政党の党首が掲げる公約にはコロナあるいはCOVID-19という言葉はほとんど出てきません。今は物価高で賃金も停滞のままですから、物価高対策に焦点が行くのは当然なのですが、それにしても国民の意識か…

SARS-CoV-2スパイクタンパク質のアミロイド形成能

はじめに SARS-CoV-2は、ホモ三量体の表面スパイクタンパク質(S-protein)を用いて、ヒト細胞の受容体(ACE2)に結合し、細胞内に侵入します。それゆえ、このウイルスのスパイクタンパクの機能や毒性は、パンデミックが始まって以来、多くの研究者の焦点と…

mRNAワクチンのブースター接種を中止すべき

はじめに 6月6日、日本ではCOVID-19ワクチンのブースター接種(3回目)が、全人口の約60%に達したことが報道されました [1]。ワクチンとは言いながら、実体は抗原となるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質を宿主細胞に作らせるように設計された修飾mRNA型生物製…

地域社会のマスク着用向上がコロナ感染を減少させる

はじめに 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の防御に、マスク着用が一定の効果があることは何となく理解されていると思いますが、実は学術論文レベルで見ると、「効果がある」というものと「効果はない」とする相反する報告があります。ここで注意しなけ…

CDCの研究:COVID-19生存者の20%以上が長期症状を経験

米国疾病管理予防センター(CDC)は、最近、long Covid に関する大規模な研究の結果を発表しました [1]。Long Covid は、SARS-CoV-2の初感染後、急性症状の回復後に、数ヶ月またはそれ以上続く可能性のある一連の症状を表す用語です。ここでは仮に長期コロナ…

小児急性肝炎にSARS-CoV-2のスーパー抗原が関わる?

2022.05.16更新 先のブログで記事で、私は、いま世界的に注目されている原因不明の小児急性肝炎について新型コロナ感染(長期症状)との関係を考えるべきではないかという見解を示しました(→世界的な謎の小児肝炎はコロナ関連症状か)。以下のように、ツイ…

腸内でなかなか消えないコロナウイルスの"ゴースト"

先月、本ブログで、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の消化器感染とlong COVID(長期コロナ症)との関係を示唆する論文が出版されたこと、それをBloombergが取り上げたことを紹介しました(→SARS-CoV-2の消化器感染とLong COVID)。最近、この論文の内容を…

オミクロンの重症化率、致死率は従来の変異体と変わらない?

オミクロン変異体はこれまでのSARS-CoV-2変異体と同様に重症化度が高い、とする研究成果を、5月6日付けのロイター記事が紹介しました [1]。この研究は、米国マサチューセッツ総合病院、ミネルバ大学、ハーバード大学医学部の共同研究グループによるもので、…

迅速抗原検査はオミクロン検出の感度が低い

はじめに SARS-CoV-2の検査は、現在、プローブ・リアルタイムPCR(RT-PCR)が標準法として使われています。一方、発症者を迅速に診断したり、感染をスクリーニングするための迅速(簡易)抗原検査(rapid antigen test, RAT)も多用されており、一部の国では…

SARS-CoV-2の消化器感染と long COVID

はじめに 今日(4月18日)、米カリフォルニア州スタンフォード大学の医学ニュースを見ていたら、「軽症のCOVID-19患者は、ふん便中に長期間ウイルスRNAを排出する」という記事 [1] が目にとまりました。どうやら、この長期間のウイルス保持が long COVID(長…

相変わらずの貧弱なPCR検査態勢

COVID-19パンデミックにおいて防疫対策の基本の一つにになるのが検査です。今はマルチプレックス TaqMan PCR(プローブRT-PCR)という非常に高精度、高感度の分子技法が、SARS-CoV-2を検出する標準検査法として世界的に用いられています。検査の意義は以前の…

オミクロン系統の新しい変異体

2022.04.05更新 COVID-19パンデミックは3年目に入りましたが、いまはオミクロン系統(関連ブログ記事→オミクロン変異体が意味するもの)のSARS-CoV-2変異体の流行が主体です。オミクロンは、日本で第4波流行をもたらしたアルファ変異体、第5波の原因であった…

抗イディオタイプ抗体が悪さをする?

SARS-CoV-2感染症(COVID-19) のパンデミックが始まって以来、3年目になりましたが、依然としてその病態の理解はまだ不完全です。それはこの病気において、なぜ複数の臓器に影響が及ぶのか、ウイルス消失後においてもなぜ長期にわたって"Long COVID"症候群(…

遺伝子ワクチンを取り込んだ細胞は免疫系の攻撃標的になる

はじめに これまでのブログ記事で、私は、現行の遺伝子ワクチン(mRNAワクチン、アデノウイルスベクターワクチン)が失敗ではないかということを述べてきました(→ワクチンとしてのスパイクの設計プログラムの可否、核酸ワクチンへの疑問ーマローン博士の主…

予測不能な病毒性をもつSARS-CoV-2の出現

はじめに ウイルスのゲノム(DNAまたはRNA)の変異はランダム変異であり、時間軸に対して一定の確率で起こっています。その変異は彼ら自身にとって良くも悪くもなく中立的ですが、そのなかで環境(宿主)に適応したものだけが生き残っていきます(自然選択説…