Dr. TAIRA のブログII

環境と生物、微生物、感染症、科学技術、生活科学、社会・時事問題などに関する記事紹介

#生物学

直立不動のアカボシゴマダラ

前のページでも紹介したように、Hestina属チョウの幼虫は頭を浮かしてエノキ葉上に静止する性質があります。↓ 体を浮かすアカボシゴマダラの幼虫 - Dr. Tairaのブログ 写真1はその例で、2化目のアカボシゴマダラの5齢幼虫の様子を示します。 写真1 このよう…

アカボシゴマダラの3化目の状況

梅雨が明けた後は毎日暑いですね。ほぼ毎日いくつかの公園・緑地の定点調査に自転車で出かけていますが、道中暑くてまいります。目的地の緑地の森に入るとホッとします。 8月上旬まで2化目で発生したアカボシゴマダラの成虫があちらこちらで乱舞していました…

マンモスが現代によみがえる?

昨日のNHK「クローズアップ現代」では、「マンモス復活狂騒曲の舞台裏」というタイトルで1万年前に絶滅したはずのマンモスを最新生命工学技術を駆使して現代によみがえるという、日米それぞれのプロジェクトを紹介していました。そんな夢のような話がいま、…

今年もオオキンケイギク

昨年このブログでも取り上げましたが、この時期、沿道、空き地、緑地におけるオオキンケイギク Coreopsis lanceolata のはびこり方が半端ないです。オオキンケイギクはキク科植物の一種で、美しい黄色い花を咲かせますが、特定外来生物に指定されている厄介…

ウスベニアオイ

今日もアカボシゴマダラやゴマダラチョウの定点観察に出かけました。途中小川沿いに遊歩道がある里山風の緑地帯があり、ウスベニアオイ Malva sylvestris が咲いていました(写真1、2)。誰かが植えたのでしょうね。 ウスベニアオイはアオイ科ゼニアオイ属の…

ゴマダラチョウとアカボシゴマダラの蛹

この時期、アカボシゴマダラの越冬幼虫はあちこちの公園などで蛹化し、次々と羽化しています。近くの緑地の1つでも春型(白化型)の成虫が乱舞しているところを目撃しました。同属異種のゴマダラチョウも蛹化し、これまで1頭の成虫の羽化を同じ緑地で目撃し…

睡蓮の花

今日もゴマダラチョウの探索に出かけました。この冬に落ち葉の下に多くの越冬幼虫を確認したエノキを中心に葉上の幼虫の数や蛹の付き方を知るのが目的です。1本のエノキ(樹高10–15 m)を木登りしながら見るのに1時間以上かかりますので3本がやっとという感…

今日のエノキ探索と昆虫

今日もエノキ探索を行いました。目的はゴマダラチョウの幼虫と蛹探しです。結論から言うと残念ながらゴマダラチョウは見つかりませんでした。写真1は探索したエノキの一つで、実がなっています。 写真1 赤い実もありました(写真2)。 写真2 ゴマダラチョウ…

オカモトトゲエダシャク

この時期あちこちの公園内にはミズキ Cornus controversa の白い花が咲いています(写真1)。 そして下にはヒメジョオンやハルジョオン Erigeron philadelphicus の花が満開です。写真2はハルジョオンですが、ちょっと見ただけではヒメジョオンとの区別がむ…

ヒメジョオンとハナアブ

いつも観察しているいくつかのエノキの下には、いまヒメジョオン Erigeron annuus が咲き誇っています。キク科ムカシヨモギ属の植物で、この時期から秋口まで白い花を咲かせます。 ヒメジョオンにはハナアブの仲間がいつも訪れていて、私の目を楽しませてく…

網掛けエノキのゴマダラチョウ

昨日はエノキ上にいるゴマダラチョウの幼虫などを鳥による食害から守るために木の網掛け保護対策を行いました。その甲斐あってか、今日観察に行ったら毎日のように減っていた幼虫の数が、昨日と同数に維持されていました。まだ1日しか経っていませんが、効果…

網掛けエノキ

現在、定点観察しているエノキにはゴマダラチョウやアカボシゴマダラの5齢幼虫がたくさん発生しています。一部の木にはすでに蛹がぶら下がっています。しかし前のページでも書いたように鳥による食害が著しいです。 とくに樹高3–10 mの中低木にいるゴマダラ…

アカボシゴマダラの蛹

この時期、アカボシゴマダラの5齢幼虫は続々と蛹化しています。とはいえ、前のページでも書いたように、ほとんどの場合、食事の場であるエノキを降りて別の場所で蛹化するので、その姿を見ることは容易ではありません。どうもこの行動は越冬明けの個体に見ら…

今日の昆虫-4/28

昨日と打って変わって今日はカラッとした青空の日でした。というわけで都市近郊のエノキがたくさんある森に出かけました。周辺には農地が広がる里山環境があります。 写真1は訪れた森の中にあるエノキの大木の一つです。 写真1 下草の間にはツチイナゴがいま…

今日の昆虫-4/26

今日は冷たい雨の日でした。雨の中昆虫の定点観察に出かけました。ある定点に行くとケヤキの葉にしがみついているモンシロチョウに出会いました(写真1)。ちょっと黄色味が強い個体です。 生まれたばかりでしょうか、非常に弱々しい感じで指で突いても飛ぶ…

アカボシゴマダラはどこで蛹になるのか

私はアカボシゴマダラについて以前から不思議に思っていることがあります。それは、1本のエノキ低木・幼木に多い時は10頭以上の幼虫が発生するにもかかわらず、春の発生においてはそれらのエノキに蛹がほとんど見当たらないことです。抜け殻があったとして…

ベニモンアオリンガ

昨夜、自宅の風呂場の灯に誘われてベニモンアオリンガEarias roseiferaが飛び込んできました。その名のとおり、翅に鮮やかな紅色の紋があります。 私はこれまで何度となくこのガを目撃していますが、実はベニ紋の現れ方は個体によって非常に異なり(ほとんど…

今日の残念なこととルリタテハ

今日はまた残念なことがありました。昆虫の定点観察の一つにしている里山環境の場所に行ってみると、何とこれまで観察してきたエノキが3本伐採されていました(写真1)。 写真1 これらのエノキは8–10 mの樹高で2 m弱のところに横に延びた下枝が出ており、葉…

アカボシゴマダラ vs ゴマダラチョウ-2

越冬明けのHestina 属幼虫はこの時期5齢への脱皮が進行している最中です。一部はすでに蛹になっています。まず、この時期のアカボシゴマダラの典型的な5齢幼虫を示します。 写真1は脱皮後10日を経過したアカボシ5齢幼虫です。 写真1 こちらは脱皮後2週間を経…

エノキの上の昆虫

この時期、エノキの幹や葉上を観察しているといろいろな昆虫に出会います。まずはナナホシテントウCoccinella septempunctata の幼虫です(写真1)。 写真1 こちらはサナギです(写真2)。 写真2 予期せずアカサシガメCydnocoris russatus に遭遇しました(…

寄生蜂によるアカボシゴマダラ幼虫の死亡率

アカボシゴマダラの幼虫はゴマダラチョウと同様にヒメバチ類による寄生率が高く、成虫になる前に死亡することが多いようです。私も越冬幼虫がエノキの幹上で止まっている間に抜け殻になっている姿を何度となく見てきました。 4月も半ばを過ぎて大部分のアカ…

アカボシゴマダラとゴマダラチョウの越冬幼虫の脱皮

この時期続々とアカボシゴマダラの5齢幼虫が発生しています。4齢で越冬した幼虫が春の訪れとともに起眠し、若葉が出る頃に脱皮して5齢になるわけです。 脱皮したての5齢幼虫の体色はエノキの若葉に対して保護色になっておりかつ擬態化していますので見つける…

公園に殺虫剤を撒く行政

今日、昆虫の定点観察の一つにしている都市公園に出向いたら、入り口に生えているマテバシイの木に管理者である市による掲示がしてありました。読んでみると、公園内のサンゴジュに害虫退治のためにトレボン乳剤を散布するとあり、驚きました。 トレボン乳剤…

蛹化前のアカボシゴマダラ幼虫

定点観察をしているエノキ上のアカボシゴマダラの幼虫ですが、4月のこの時期6–7割が脱皮を終えました。最も早く5齢幼虫になったところではすでに蛹化への準備が始まっています。体長は40 mm近くになって背中の突起模様はほとんどなくなり(写真左)、食欲は…

今日の昆虫-4/15

今日の昆虫です。公園でタンポポにとまるキアゲハを見つけました(写真1)。翅が少し頼りなく羽化したてのようにも見えましたが、右の後ろ翅の赤紋が破けていました。 写真1 これも羽化したてと思われるきれいなベニシジミです(写真2)。 写真2 最後はアカ…

オオムラサキ越冬幼虫の起眠

昨日からやっと気温が安定してきて春らしくなってきました。というわけで、アカボシゴマダラやゴマダラチョウの越冬幼虫に続いて、オオムラサキの越冬幼虫も落ち葉の下から起き出してきました。定点観察しているこのエノキでは、2匹幹上に上っているのが確認…

Hestina種越冬幼虫の生残率

ゴマダラチョウやアカボシゴマダラの越冬幼虫の起眠率や生残率、そして成虫までたどり着ける確率はかなり低いと言われています。一説によれば羽化まで行けるのは10%くらいとも言われています。死亡する原因としては鳥などによる捕食、ハチ・ハエによる寄生、…

この時期のアカボシ幼虫の多形態

冬を越し起眠したアカボシゴマダラの幼虫ですが、この時期(4月上旬)さまざまな形態が見られます。 写真1左はエノキの幹上に上ってきてしばらく経った越冬型4齢幼虫です。落ち葉の下で15 mmほどの最小体長になった状態から徐々に大きくなり、脱皮直前の(頭…

冷たい雨に耐えるアカボシゴマダラ

今日は冷たい雨の日でした。普段はエノキ幼木の上を盛んに動き回っているアカボシゴマダラの5齢幼虫ですが、季節外れの寒さ到来でさすがにジッと動かずに耐えています。観察した個体のすべてに雨粒が乗っていました(写真1)。 写真1 昨日までの暖かさで一晩…

今の時期のゴマダラチョウ幼虫

この時期、エノキの幼木上でアカボシゴマダラの幼虫がダイナミックな動きを見せている一方で、ゴマダラチョウの幼虫はどうでしょうか。アカボシゴマダラとは異なり大部分がエノキの大木の根元の陰にいるためより温度の変化を受けにくく、起眠する時期はやは…