Dr. TAIRA のブログII

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早春のアカボシゴマダラ

3月に入り気温が上昇してきました。最近雨の日が多いですが、確実に春の訪れを感じます。
 
この時期の Hestina 属の越冬幼虫ですが、ゴマダラチョウはまだ完全にエノキの落ち葉の下です。一方、アカボシゴマダラの越冬幼虫もエノキの落ち葉にいますが、もっぱら低幼木の根元です。少数は高木の根元や低木の幹上に冬を越しています。そしてこの時期、温度の上昇とともに幹上に登ってくるのです。
 
樹高3–10 mの範囲にあるエノキの中低木は、ゴマダラチョウもアカボシゴマダラも越冬幼虫が見つかることが少ないです。この理由としては、樹木が小さいために根元の幼虫が落ち葉とともに風で吹き飛ばされやすいことが挙げられます。結果として越冬幼虫の検出率が低くなってしまうわけですが、無視するわけにもいきません。両種の分布の把握には中低木のチェックも当然重要です。

写真1は今日チェックした中低木の一つで、樹高約6 mです。下草が豊富にあるために落ち葉がたくさん残っていました。ここからはゴマダラチョウとアカボシゴマダラの幼虫を検出しました。

イメージ 1
写真1
 
写真2は樹高約4 mのエノキです。ここも落ち葉の保存状態が良く、根元からアカボシゴマダラを検出しました(写真3)。
 
イメージ 2
写真2
 
イメージ 3
写真3
 
問題は樹高3 m以下の低幼木です。そろそろアカボシの越冬幼虫が起き出して幹を登り始めるので、幹上もくまなくチェックしなければなりません。
 
根元にアカボシの越冬幼虫を確認している約80本のエノキ幼木を今日チェックしてみました。そしたら2本のエノキの幹上に幼虫が登っているところを発見しました(写真4)。昨年12月に幹上にいた位置と同じところです。
 
これから探索・調査が忙しくなります。
 
イメージ 4
写真4