今朝のNHK「あさイチ」ではAGEを取り上げていました。AGEとは最終(終末)糖化産物(Advanced Glycation Endproducts)のことで、強い毒性を持ち、老化促進の元凶としてやり玉にあげられている物質です。
AGEは、タンパク質に過剰な糖がくっつくことでそれが糖化された状態の物質であり、健康に害を及ぼし老化を促進する劣化したタンパク質のゴミのようなものです。活性酸素が体のサビと言われるのに対し、AGEは体のコゲと言われたりします。
実際のAGEがどのような害があるのか、番組で紹介されていただけでもありとあらゆる病気に関わっていることがわかります。溜まる部位によって以下のような病気を起こします。
目:白内障
皮膚:しみ、しわ、たるみ
骨:骨粗鬆症、
その他:がんや変形性関節症
また、AGE値が高い人は老化の進行が速く、寿命が短くなることが紹介されていました。したがって、体の中にAGEが溜まらないようにすることが、老化防止と健康維持法の重要ポイントということが言えます。
AGEは、食事で摂った余分な糖質が体内でタンパク質と結びついて産生されますので、糖質を過剰に摂らないことがAGE予防の第一歩となります。しかし、実はすでに食品製造や料理の段階で、多くのAGEが生じていることに注意しなければなりません。
簡単に言えば、「糖質とタンパク質をいっしょに加熱することでできる焦げた褐色の部分がAGE」と考えたらわかりやすいです。このような料理中の現象はいくらでもあります。キツネ色のホットケーキやトースト、とんかつなどの揚げ物、ステーキや焼き魚の褐色の焦げ目など、枚挙にいとまがありません。
番組では、AGEを作りにくい料理法として野菜炒めを例に紹介していました。野菜炒めは通常油で炒めますが、これを水に替えることでAGE産生を1/5に抑えられるそうです(図1)。野菜から水分が出過ぎないように中火で炒めるのがコツと言っていました。
図1. AGE産生を抑える料理法ー野菜炒め
もう1つ、AGEを抑える料理法としてとんかつを紹介していました。豚肉をあらかじめレモンに浸して静置しておき、それから揚げると、AGEが35%減ると紹介されていました(図2)。
図2. AGE産生を抑える料理法ーとんかつ
私たちの生活には外食はつきものですが、レストランの料理やスーパー・コンビニの中食は多量のAGEが含まれています。番組では1日のAGE摂取許容量の目安を示しながら、外食・中食料理に含まれるAGE量を比較していました(図3、4)。
図3. 食事におけるAGE摂取量の目安と料理別のAGE量
ハンバーグなどもかなりのAGE量になります(図4)。
番組では食べ合わせでAGEの吸収を抑えるコツを紹介していました。具体的には、きのこ類、ブロッコリースプラウトなどをいっしょに食べるとよいそうです。
図5. 食事でAGEを抑えるコツ
結局、焼いたり揚げたりするいわゆるご馳走(美味しいもの)を食べるとAGE摂取量が高くなる、美食として贅沢するとAGEが増えるということでしょうね。
番組を見終わってある映画の中のセリフを思い出しました。ダライ・ラマの言葉?でしょうか。「人は健康を害してまでも金儲けをしようとする。そして今度は儲けた金で健康になろうとする。結局生きることをしないで一生を終える」。
健康を害してまでも美味いものを食べ、そして今度は金をかけて健康を取り戻そうとする人間は果たして縄文時代と比べて進化しているのでしょうか。食べ物を焼いたり、煮たり、揚げたりするのは生物の中で人間だけです。その時点で、生物であることを捨て去っているのかもしれません。あるいはAGEや老化など気にせずに、美味いものを食べて生きるのが幸せなのかもしれません。
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