アカボシゴマダラやゴマダラチョウの幼虫の特徴の一つとして、エノキの葉上で体のほとんどを浮かした状態で静止する姿勢があります。写真1、2はアカボシゴマダラの夏型終齢幼虫が体を浮かしている状態を示します。
よく見ると、4対ある後ろ足の最後尾の1対と尾部を接地して体を支えていることがわかります。
写真1
写真2
個体によっては後ろ足2対を用いて体を支えているのも見かけます。
写真3
なぜこのような体勢をとるのか、よくわかっていないようです。一つは物理的刺激に対する防御反応という考え方ができますが、長時間このような姿勢をとる個体もいて今ひとつはっきりしません。
写真4は越冬型4齢幼虫の同様な姿勢ですが、台座を形成する糸の量が多く、体の後ろ半分が接地していて後ろ足はよく見えません。
写真4
アカボシゴマダラの幼虫には不思議なことがたくさんあるのですが、法令上の制限があって飼育しながらの観察ができないのが残念です。しかし野外観察をしたことで得られた貴重な情報もあります。
一つは、予想以上に野鳥による幼虫・蛹の捕食の機会が多く、ゴマダラチョウも含めたエノキを食樹とするチョウへの捕食圧の分散に役立っているのではないか?という仮説が立てられたことです。
カテゴリー:Hestina属チョウとオオムラサキ