Dr. TAIRA のブログII

環境と生物、微生物、感染症、科学技術、生活科学、社会・時事問題などに関する記事紹介

ゴマダラチョウの受難-2

街の中や郊外で動植物のフィールド調査を行なっていると、どうしても人為的な影響で調査を中断せざるを得ないことがしばしばです。私が行なっているエノキ上のHestina属チョウの幼虫動態調査はとくにそうです。人の手による木の伐採と落ち葉の除去が大きな負の影響になります。
 
今日またガッカリすることが起こりました。ゴマダラチョウの観察を行うために定点である公園の一つを訪れたら、何とエノキの根元にマツの枯葉が集められていました(写真1)。すでにこのポイントである程度の調査データは得られているのですが、問題は幼虫です。この状態では果たして幼虫は下から出てこれるのでしょうか。あるいは後日、この枯葉は除去されるのでしょうか。
 
イメージ 1
写真1
 
そのように危惧しながら、別の公園での調査を続けていたら、今度はエノキが伐採された現場に遭遇しました(写真2)。前のページで非越冬型のアカボシゴマダラ幼虫が枝にとまっていた公園内のエノキです。
 
バッサリ根元から切られていて、伐採した枝も残されていませんでした。幼虫の運命は想像つきます。非越冬型である5齢幼虫がどうなるか、この冬見届けるチャンスがなくなりました。
 
おそらく、付近の住民が落葉してしまったエノキを枯れ木だと思い違いしたか雑木だと思って切ったのではないでしょうか。周りのツツジやアベリアは剪定されずそのままだったので、業者が伐採したわけではないようです。
 
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写真2
 
ゴマダラチョウやアカボシゴマダラにとってはまたまた受難続きでした。