地球上では年を追って紫外線量が増加していることが知られています。もちろん国内でも同様です。
気象庁の発表によれば、図1に示すように、日本の南北3地点で過去30年近くの間に観測された紅斑紫外線量は、いずれも増加傾向にあります [1]。紅斑紫外線とは、紫外線を浴びて皮膚が赤くなる(紅斑)などの変化に基づいて、人体に及ぼす影響度を考慮して算出された紫外線量です。
図1. 国内の紅斑紫外線量年積算値の経年変化(文献1より)
私は外出するときは必ず帽子を被り、夏でも長袖を着用していますが、それでも以前と比べて日焼けしやすくなっているような気がします。
紫外線は生物にとっては害毒であり、ヒトの場合皮膚の老化やがん化の原因となります。最近の紫外線量の増加を考えると、ますます防護対策が必要と考えられます。このブログでも日傘などの紫外線対策について紹介しました(https://blogs.yahoo.co.jp/rplelegans130/16299281.html)。
今朝の朝日新聞 [2] には少しショックな記事が載っていました。それは中学校の部活動で生徒の目に紫外線の影響が認められるというものです。目に症状がある生徒は、屋外の部活で多い傾向があるということです。
目の症状の一つとして翼状片(よくじょうへん)が挙げられていました。これは白目の細胞が増えて血管とともに黒目の方に伸びてくる病気で、進行すると視力低下につながります。
また、瞼裂斑(けんれつはん)という症状も取り上げられていました。これは白目の一部が濁って盛り上がる病気で、これ自体は無害ですが、翼状片に進行する可能性もあるということです。図2に示すように、野球、ソフトボール、サッカーなどの野外部活で検出率が高くなっています。
図2. 中学生の部活動と瞼裂斑の検出の頻度(10人以上の部活)(朝日新聞 [2]からの改変図)
次世代を担う10代の若者に及ぼす紫外線の影響については、より注意する必要があると思われます。紫外線対策としては帽子、サングラスを含めた眼鏡、コンタクトレンズなどの着用が挙げられています(図3)。学校でも日常的な活動におけるサングラスの着用を認めるなどの早急の対策が必要でしょう。
図3. 紫外線から子供の目を守る対策 (朝日新聞 [2]より)
参考文献
1. 気象庁:紫外線の経年変化. http://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/diag_cie.html
2. 朝日新聞デジタル:子どもの目、紫外線から守る 症状ある生徒、屋外部活で多い傾向も. 2018.6.6 https://www.asahi.com/articles/DA3S13527703.html